| 皆さまご機嫌いかがですか? 千葉舞信でございます。 晩春というには、いささかお暑い日が多すぎる気がする今日この頃。 かといって梅雨の時期になると、湿気で気が滅入ってしまうので、 四季があるといっても丁度いい日というのは、 エアコンを効かせた自室にのみやってくるのかも知れませんねw さてさて。 本日のブログタイトルですが 「子供向けこそ大人の娯楽」 と、題しております。 子供向けのものなんて、大人が楽しめる訳ないだろ… などと切り捨ててしまうのは、ちょっぴり待ってくださいね。 うちにはまだ4歳と、まもなく1歳になる女の子がいるんですけど。 子供が好きになるものの登竜門ともいえる「アンパンマン」が大好きなんですね。 上の子なんて、「アンパンマン」のオモチャを見かければ欲しい… お菓子を見かければ欲しい… 絵本に塗り絵、お洋服を見ても欲しい!!… と、いまだ「アンパンマン」への興味が尽きず、 しまいには親を敵と仮定して“アンパンチ”を繰り出す始末w そんな「アンパンマン」は、TVアニメが1988年10月3日に放送開始。 原作となる絵本「あんぱんまん」は、 1973年10月に幼児向け絵本月刊誌に初掲載され、 75年には「それいけ!アンパンマン」と改題され単行本化されました。 日本の長寿アニメといえば、1位「サザエさん」(69年〜)、 2位「ドラえもん」(79年~)ですが、 「アンパンマン」は3位に食い込むわけですw 原作が絵本でありながら、幅広い世代に浸透する作品となったのは、 まさしく子供向けでありながら、 作者“やなせたかし”先生の戦争体験が 「アンパンマン」の根底にあるからではないでしょうか。 ちなみにですが、作者である“やなせたかし”先生は、 1969年に雑誌「PHP」で読み切り童話「アンパンマン」を発表しておりますが、 こちらに出てくる「アンパンマン」は、 小太りの中年男性として描かれています。 そしてこの「アンパンマン」は、世界中の飢えに苦しむ子供たちを救うため、 あんぱんを配り続けるのですが、敵機と間違われて銃撃され、帰らぬ人となってしまうのです。 ちょっと横道に逸れますが。 漫画をアニメ化する際に、その主題歌の作詞を漫画の作者が担当した… というのはたまにあります。 「ゲゲゲの鬼太郎」や「ドラえもん」、「サイボーグ009」“誰がために”、 「キン肉マン」“キン肉マン Go Fight”、 「ちびまる子ちゃん」の“おどるポンポコリン”等が有名ですね。 その作品のことを一番理解している作者だからこそ、 歌詞に様々な思いを込めることができますし、 音楽で作品を補完する役割も十分にあるのだと思います。 さて、では「アンパンマン」の音楽は、どなたが歌詞を書いているのでしょうか…。 主題歌となるオープニング・エンディング曲として、誰もが耳にした事のある 「アンパンマンのマーチ」 「勇気りんりん」 「サンサンたいそう」 「アンパンマンたいそう」 これ全部“やなせたかし”先生が作詞を担当しているんです。 それだけでも十分スゴいのに、この他にも、 「ドレミファ アンパンマン」 「すすめ!アンパンマン号」 「生きてるパンをつくろう」 「いくぞ!ばいきんまん」 「希望のハンカチ」 等など、あの世界のキャラクターの多さにもビックリなのに、 作詞を担当した楽曲も多いのなんの。 エンディングに関しては、明るくて動きをマネしたくなる、 まさしく子供向けの楽しい音楽です。 それに対して、オープニングである「アンパンマンのマーチ」はどうでしょう。 子供の頃、何気なく歌っていたあの曲。 大人になって、よくよく歌詞を見てみると、 本当に子供向けなの?というフレーズばかり。 アニメのオープニングの第一声は そうだ おそれないで みんなのために 愛と勇気だけが ともだちさ となっていますが、フルサイズでは そうだ うれしいんだ 生きるよろこび たとえむ胸の傷が いたんでも …なんですよ!? そしてこう続きます。 なんのために うまれて なにをして 生きるのか こたえられない なんて そんなのは いやだ! 深いですよね。 この深さが、そして愛あるメッセージ性が、 多くの人の心に刺さった時期がありました。 2011年3月11日 東日本大震災 地震による地割れ、山崩れ、そして沿岸部を容赦なく抉った津波。 被災した人々の多くは、心に深いトラウマを抱え、 避難所での生活を余儀なくされました。 ライフラインは寸断され、 これまで当たり前だった日常が、一瞬で非日常へと変貌した。 過酷極まる状況ですが、小さな子供たちは遠慮なく泣き叫びます。 そんな時、ラジオから流れてきたのが「アンパンマンのマーチ」でした。 あまりにも非現実的で、 それでいえ逃げようもない状況下を知らない人たちからすれば、 子供向けの曲ばかりがリクエストされ、辟易とした気持ちだったのかもしれません。 でも、被災した人たちの耳に入ってきた 「アンパンマンのマーチ」は、たしかに胸に響きました。 誰しもが一度は耳にした事のある子供向けアニメの曲が、 子供たちの笑顔を取り戻し、疲弊した大人たちの心を励ます…。 私は宮城県北の内陸に住んでいたため、 津波による被害は受けなかったものの、ライフラインが寸断され、 日毎に物資が枯渇していく中で生きていた。 風の噂でガソリンスタンドが、スーパーが開く…と聞けば、 父と一緒に車で出掛けた。 そして唯一外界と繋がれるラジオからは、 「アンパンマンのマーチ」が流れていたことを今でも覚えている。 私自身、明日への不安に負けそうだったのを、 「アンパンマン」に救われていた。 「アンパンマンのマーチ」、 そして「アンパンマン」という作品の根底にある “やなせたかし”先生の戦争体験、 飢餓で苦しむ人を救いたいという純粋な心、 時に180°C変容する“正義”の有り様。 その一つ一つが複雑に絡み合いながらも、 綺麗に癒着して成立しているのは奇跡に近いと思う。 余談ながら。 私が二十代を捧げた人形劇団の社長は、 早稲田大学在学中から演劇に傾倒していた。 その時の同士には、風間杜夫さんや大竹まことさん、 きたろうさんがいたらしく、 その時分の集合写真を大事そうに稽古場の入口に飾っていた。 この社長は常々 「私たちは人形劇で保育園や幼稚園を回っているけど、 子供に媚びを売るような作品の作り方はするな。 一緒に見ている先生や保護者も楽しめる作品を目指しなさい」 と言っていた。 どんなに子供たちが楽しんでいても、なるほど先生たちは正直だ。 終演後にお渡ししていたアンケートには、実に素直な感想が乱立していた。 ・子供たちは喜んでいましたが、内容的には難しかった。 ・50分とのことですが、長く感じました。 ・(演目が日本の昔話だった時)地味でした。園児でもわかるお話がよかったです。 演じる側の恨み節ではないが、退団して10年は経つのに、いまだに覚えている。 しかし社長はこうも言った。 「アンケートの回答ばかりを気にしすぎるな。」 上演アンケートは元来、現場に出ない事務所の面々のためにあるもので、 事務所の職員が演者側を叱責するための道具ではない。 もちろん、貴重な情報に変わりはないし、自覚している反省点は直す必要がある。 しかし、アンケートの回答を全て受け入れていたら、 演出家なんていらなくなるし、演者たちの肚にある作品への解釈だとか、 理想・理念が成り立たなくなる。 それを知っていたからこそ、社長の発言には頷けた。 昨今の子供向け番組を見ていると、 大手スポンサーを考慮した作品が多く、 CMもその手の商品紹介が多い。 大人が経済を回す以上、それ自体は仕方がないが、 子供を置いてけぼりにした作品なぞは目も当てられない。 そういう手合いの作品は芯が薄っぺらく、 物語がありきたりで、企画の上辺だけを取り繕った陳腐なものばかり。 たとえマンネリ化したストーリーであっても、 物語の根底を綺麗にさらった時に、 光り輝くテーマがないと、せっかくの作品も長くは続かない。 「アンパンマン」は、これからも見る人の心に寄り添い、 困った時には救いの手を、 そして甘いあんぱんを差し出してくれるだろう。 |
子供向けこそ大人の娯楽


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